KIRIN FREE

創作居食屋en

2009年11月02日 12:23






「100年に一度の大不況」と世ばれた今年もいよいよ大詰め。
この頃になると気になるのが「今年のヒット商品は何か?」です。
あなたの印象に残る今年のヒット商品は何でしょうか?

今年は経済的にマイナス成長の年でした。
そのような年に売れた商品は、これまでのように
「いい物を作れば売れる」「安くないと売れない」など
拡大を前提とした時代の考え方とは全く違う要素を持っているはずです。

例えばトヨタ自動車のプリウスは、
「減税の対象になってお得だから」だけで売れたわけではないでしょう。
また「燃費が良い」「本体も安い」だけでもないでしょう。

プリウスを買った人は、「プリウスに乗る暮らし」を買ったのです。
それは、「地球環境のことを考え、自分にできることをする」生き方です。
シンプルでスローだけど、勝ち負けや世間体などに囚われない、
自分らしさを大切にした落ち着いた生き方だといえるでしょう。

商品を選ぶ理由がスッカリ変わってきているのです。
ですから、今年のヒット商品とは、これまで以上に
「なぜ売れたのか?」「どのように使われて喜ばれているのか?」
「これを買った人は次に何を求める?」
などの視点で注目しておくべきなのです。

そこで今回、「キリン『Free』がなぜ売れたのか?」をご紹介いたします。
この商品はアルコールが全く入っていないのに
味ものど越しもビールそっくり。そこが受けて大ヒットしたものですが、
そこには、当初想定しなかった「意外なユーザー」がいたのです。

『Free』の開発当初のターゲットはクルマ等の運転があるから、
酒を控えねばならない酒好きな人たちでした。
もちろんそのような人によく売れているのですが、
メーカーにとってうれしい2つの誤算がありました、
その第一は、「お酒が全く飲めない人」が『Free』に飛びついたことです。

私もかつては全然飲めない人間だったのでよくわかるのですが、
飲めない人は、宴会の席で肩身の狭い思いをしています。
とくに「●●、どうだ一杯いかんか」などと周りからビール瓶を持って
勧められたときに「すみません、飲めないのです」というと
折角の気持ちを壊すようで申し訳ない気持ちになります。

この『Free』はそのような人を救いました。
普通のビールと同じように、ビール瓶から注いでもらえます。
そして、ビールと同じように口の周りを泡で汚しながら飲めるのです。
それまでできなかった「酒を酌み交わす」コミュニケーションスタイルが、
誰とでも可能になるのです。

第二は「妊婦」です。
妊婦の飲酒は胎児への影響があるといわれており、
妊娠期間中はお酒をガマンしなくてはいけません。
すると、夫婦で楽しみにしていた晩酌を一緒にできなくなります。

このようなとき、「お前がガマンするのなら俺もガマンする」
という優しいご主人が多いといいます。
しかし、奥さんはとしてはそれだけは避けたい。
そこで『Free』です。『Free』があると、「私は『Free』を飲むから、
あなたはビールを飲んで」と言えるのです。

このように『Free』を買った人とその理由を見ていると、
「期待に応えられず肩身の狭い思いをしている」ことを回避するための
具体的な手段が求められていることがわかります。

同社には毎日のように妊婦のユーザーから感謝のメールやお手紙が
届いているといいます。周囲とのバランスを意識し、
それを壊さないように何とかしようとしている時代なのです。

さて、あなたのビジネスで、
お客様や取引先の期待に応えられていないな…
と思われる事柄はないでしょうか?それを洗い出してみましょう。
そして、それを少しだけ解消するサービスを開発しましょう!

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